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多のう胞性卵巣(PCOS)と体外受精(ART)

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊患者さんには基本的にはアロマターゼ阻害剤(レトロゾール・フェマーラ®)で排卵を誘発してあげれば妊娠の可能性はあります。しかし、PCOS以外に精子異常や卵管が閉鎖している等の他不妊原因が合併する場合は体外受精が必要になることも少なくありません。
従来、PCOSに対する卵巣刺激はかなりやっかいな問題でした。卵がたくさん発育した結果、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が発生しやすかったからです。
しかし2022年4月より、その予防策として採卵後レトロゾールやカベルゴリン(カバサール)が保険で服用できるようになり、OHSSの予防がかなり可能になりました。
実際、当クリニックでもPCOSの方のARTは多いのですが、重症なOHSSは全くありません。また充分な卵巣刺激ができるので卵の質も良く、多くの良好胚盤胞が凍結可能です。
このような事情からARTをしたPCOSの患者さんの妊娠率は60%以上と良好な結果を得ています。