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多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ【第三弾】

こんにちは。
多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ第三弾となります。


本日は『PCOSの治療』についてお話します。


PCOSの治療

①排卵誘発(レトロゾール)
レトロゾール錠という排卵誘発剤を5日間服用し、排卵を誘起し妊娠に結び付けます。
本剤は特に副作用もなく、効果的に排卵が起こせるのでPCOSの治療の第一選択です。
保険適応の薬剤です。

②腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD)
PCOSの卵巣はその表面が厚く硬いので、卵胞が破れにくく未破裂になることがあります。
これを改善するために腹腔鏡を見ながら卵巣の表面にレーザーを照射し、小さな孔をあける方法です。
排卵に有効な方法ですが、前述のレトロゾールが普及するに従い、本法も実施する頻度は低下しています。

③ピル
まだ妊娠を希望していない方は強いて排卵を誘発する必要はありません。
ピルで定期的に月経様出血を起こしてあげることで十分です。
若い方でPCOSを放置しておくと、特に子宮内膜が肥厚し、将来子宮内膜癌のリスクになります。

④体外受精-胚移植法(ART)
PCOSに加え、卵管閉鎖や強い精子異常を合併し、単に排卵を誘発しただけでは妊娠できない場合にはARTが必要です。
当院ではPCOSでARTを行った方の症例が豊富で、そのうち80%以上の方が妊娠に辿り着いています。
最近の薬剤療法で卵巣過剰刺激症候群も回避できます。


以上、排卵障害の代表の一つであるPCOSについて三回に渡り解説いたしました。

お心当たりのある方は一度受診されることをお勧めいたします。