多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ【第二弾】 こんにちは。 多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ第二弾となります。 今回は『PCOSの診断』についてお話いたします。 PCOSの診断 ①月経異常(無月経や稀発月経など) ②超音波で両側の卵巣の周囲に小さなのう胞が多数観察される(多のう胞)。 ③ホルモン分泌の異常 ・男性ホルモンが高い傾向(日本人では全ての方に当てはまるわけではありません) ・脳の中のホルモン中枢の脳下垂体から分泌される2つの卵巣刺激ホルモンのうち、...
多のう胞性卵巣(PCOS)シリーズ【第一弾】 こんにちは。 PCOS(多のう胞性卵巣症候群)について詳しくお話いたします。 多のう胞性卵巣症候群のことを医学的にPCOSと呼びます。 生理不順の方のうち、PCOSを原因とする方の割合は結構多く、日本人女性の10%前後の方に本症があると言われています。 今回は『PCOSの症状』についてお話します。 ①生理不順 ・無月経(3ヶ月以上月経がこない) ・稀発月経(月経周期が不順で、2~3ヶ月に1回しか月経がこない) ・無排卵性出血...
採卵後の卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防法について 2022年4月よりARTに保険が適用されていますが、その一つに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防目的でカベルゴリン錠(カバサール錠)とレトロゾール錠の服用が対象となっています。 今回両剤でOHSSの予防が充分可能か否か、OHSS発症のリスクが高い67名の患者さんを対象に分析しました。 その結果、 ①67名のうち62名、92.5%がOHSSを予防できました。 ②残り5名、7.5%は軽度のOHSSになりましたが、1~2日間の外来での点滴治療で済みました。 ③...
男性不妊シリーズ(2) EDについて 1. EDが原因の不妊症カップルは年々増えています。 男性不妊の原因の約40~50%は何らかの精子異常(精子数が少ない・運動率が悪い等)によるものです。 2番目に多い原因は精索静脈瘤で約30%です。 そして3番目に多い原因はEDを中心とする性機能障害です。 しかもその割合は年々増えています。 2. EDによる不妊症治療には2つの方法があります。 ①人工授精法 性交時にEDでもマスターベーションでは精...
男性不妊シリーズ(1) 精子検査について Q1. 精子検査のタイミングはいつが良いか? 2日以上7日以内の禁欲期間の中ではいつでも可能です。 Q2. 具体的な方法を知りたい ①いつ検査をするかはあらかじめTELにて予約して下さい。前日のTELでもかまいません。 検査時間は原則的には午前中になります。 ②ご予約当日にあらかじめお渡ししてある容器にマスターベーションにて精子を採取して下さい。 容器のふたをしっかり閉めて、ラベルに氏名等記入...
40歳以上の方の体外受精(ART)のための卵巣刺激法のコツ 全国的に高年齢の方のARTの割合が増えています。 2022年の当院の割合は46%でした。 年齢が上がると卵の数が減少し卵巣刺激が困難になりますが、それなりのコツがあります。 ①初期化する:ホルモンを整えてから(月経3日目のFSHが10iu以下)スタートする。 ②mildな刺激が良い:clomid1/2錠あるいは1錠を連日服用し、複数の卵胞径が10mmになったらHMGを追加投与する。 ③AMHが1~1.5なら:clomidを5日間服用し注射FSHを追加し、場合によりan...
当院の2022年の体外受精の治療成績について 当院の2022年の体外受精の妊娠の成績を速報します。 40歳未満の方の胚移植あたりの妊娠率は、胚盤胞では51.4%と過去最高の結果でした。 40歳以上の方でも、胚盤胞では32.4%と、悪くありません。 完全に満足できる結果ではありませんが、悪くない結果です。 その詳細については近々ホームページに掲載いたします。
『子宮内膜症がある人の体外受精の妊娠率は子宮内膜症がない人のそれとほぼ同等である』 当院で2022年の1年間に子宮内膜症のため体外受精をしその後、219回の胚移植を行った結果、96名が妊娠しました。 その妊娠率は移植あたり44.4%でした。 一方、子宮内膜症がない人のそれは46.6%でした。 つまり子宮内膜症があってもその妊娠率は低下しないという結果でした。
「当院での先進医療スタートのお知らせ」 先進医療の内訳と費用 ①子宮内細菌叢検査 内容:子宮内の乳酸菌の割合を調べる 費用:5万円 ②高度な精子選択技術(PICSI) 内容:顕微授精のときヒアルロン酸を用い成熟精子を選別する 費用:3万円 ③子宮内膜胚受容検査(ERA) 内容:胚移植期の子宮内膜が胚を着床に適した状態かを判定する 費用:12万円 上記の治療法は自費ですが都内在住の方には助成金が支給されます。