ブログ / Diary

培養室長ブログ

中国を訪問してきました

中国を訪問してきました

この度、ご縁があり中国南部、広州にあるプライベートの不妊治療施設を訪問してきました。採卵件数3000件超、4階建ての立派な施設でした。中国南部を中心に9施設のグループ医療機関を有する大型の医療機関で、講演ではすべての関連施設に向けて、講演内容をライブ配信しました。 培養士はみんな仲良く一所懸命仕事をしており、とても素敵でした。 講演後は少し足を延ばして、桂林観光もしてきました。

培養成績報告会

当院では毎年7月には上半期の、また翌年1月には前年通年の臨床成績報告会を開催しています。また、毎月第2金曜日には医師と培養士による前月分の月間報告会を開催しています。この度、2021年7月分の成績をまとめてみて改めて感じたことですが、培養環境(インキュベーター)をドライ環境から従来の加湿環境に戻し、とても培養成績が改善されました。受精率はcIVFで87.0%(PN check時点での未熟卵は含めない)、ICSIで79.2%でした。また、正常受精卵当...

生殖補助医療胚培養士試験合格のお祝い会

生殖補助医療胚培養士試験合格のお祝い会

久しぶりのブログアップになります。今年の胚培養士認定試験に当院から一人受験し、見事合格し、学会認定の有資格者がまた一人増えました。あまり人前で努力している姿を見せない性格ですが、毎日コツコツと勉強を続けた結果が実ったようです。 このコロナ禍の中、院内でお祝いの会食を企画していただき、看護師さん方や受付さんたちとも和気あいあいとしたコミュニケーションの機会にもなりました。銀座の中心にありながらこのアットホームな雰囲...

体外受精法での受精障害についての医師、培養士間の認識の違い

初めて体外受精(cIVF)を経験される患者様の場合、同じパートナーとの間で自然妊娠や人工受精での妊娠歴があれば、ある程度受精卵が得られるだろうと予測できますが、妊娠歴がない方の初めてのトライアルの時にはどうしても不安な気持ちになります。当然、多くの卵子(当院の規定では8個以上)が得られた場合には、体外受精と顕微授精の両方の媒精方法を行うSplit ICSIを施行しますが、採卵数が少なく、体外受精のみを行うことになった場合には患者様...

当院における一卵性双胎の発生頻度

当院における一卵性双胎の発生頻度

久しぶりのBlogです。当院ではここ数カ月、一卵性twinが続いたということから、一度当院のデータをまとめて院内勉強会で報告しました。結果的には全国の集計結果による一卵性twinの発生頻度1.36%と比較して、当院の発生頻度(1.10%)が高いということはありませんでした。 ただ、将来的にもう少し症例が増えた時点で調査してみたいこともあります。それはpiezo ICSIによって出来るpin-holeからの胚の脱出の影響です。前職場で経験があるのですが、pin...

胚盤胞によく似た細胞塊

胚盤胞によく似た細胞塊

当院でのARTの基本方針は"Freeze all"で一部、分割期(Day 3)凍結、残りはDay 5-6凍結保存としている。凍結融解胚盤胞移植の周期では当院以外でもassisted hatchingを施行することが多いように思える。胚移植を行った後、培養士は移植用カテーテル内部や周囲、また外筒を使用した場合にはその内部まで、胚が残存していないかどうかの確認を行う。その確認の際にカテーテル内や外筒の内部から収縮した脱出胚盤胞によく似た細胞塊が見つかることがある...

Giant oocyteについて

Giant oocyteについて

最近、培養室の仕事をしていると本当にたまたまだと思うのですが、Giant oocyteに遭遇することが多い気がしています。そこで少しgiant oocyteについて調べてみました。 マウスなどの実験動物とほぼ同程度の頻度(~0.3%)で、ヒトにおいてもGiant oocyteが生ずる。通常サイズの卵母細胞と比べて一回り大きいサイズのgiant oocyteは減数分裂に入るよりも前の過程で隣り合った二つの細胞が何らかの理由で一つに融合して形成されたもので、GV(卵核胞)...

初めての院内勉強会

昨日、赴任後最初の院内勉強会をさせていただきました。 ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の開催に合わせて、ヨーロッパ各国の培養士の代表が集まってART laboratory(培養室)業務における問題提起や解決法などについて話し合う、alfaの会というものがあります。その会議で制定された培養室のレベルを客観的に評価するいくつかの指標について紹介させていただきました。例えば、体外受精での正常受精率は75%以上を目指しましょう、とか正常受精卵を5日...

はじめまして

2020年4月より培養室長として、楠原浩二先生の下でお世話になっている沖津摂です。早いもので、コロナが本格的に流行し始めた3月末に岡山から都内に出てきて3カ月が経過しました。初出勤日から顕微授精や胚の凍結保存などをさせていただきましたが、初めての培養室環境下でもしっかりと結果を出すことができ、それがかえって培養室スタッフに信頼してもらえる、良いきっかけになったように思います。 これまでの25年間の培養士としてのキャリアと、...