ブログ / Diary

保険適用になってからの妊娠率と移植成績

こんにちは、楠原ウィメンズクリニック培養室です! 2022年4月より不妊治療に関わる治療費が保険適用になりました。 保険適用にはならなかった治療や調整処理は先進医療として扱われ、今年に入ってからは都内在住の方向けに助成金が補助されます。(先進医療は自費ですが、保険と併用して治療が受けられます。) 自費の時と比べて、保険内で不妊治療を行うには制限されることが多いのが現状ですが、では妊娠率や治療成績にまで影響されて...

「当院での先進医療スタートのお知らせ」

先進医療の内訳と費用 ①子宮内細菌叢検査 内容:子宮内の乳酸菌の割合を調べる 費用:5万円 ②高度な精子選択技術(PICSI) 内容:顕微授精のときヒアルロン酸を用い成熟精子を選別する 費用:3万円 ③子宮内膜胚受容検査(ERA) 内容:胚移植期の子宮内膜が胚を着床に適した状態かを判定する 費用:12万円 上記の治療法は自費ですが都内在住の方には助成金が支給されます。

『不妊治療によく使われる薬・注射の知識シリーズ その②』

『不妊治療によく使われる薬・注射の知識シリーズ その②』

その2.黄体ホルモン製剤(プロゲスチン) 黄体ホルモン(P)は子宮内膜に作用し、卵(胚)が着床しやすい環境を整えます。つまり、黄体ホルモンは着床になくてはならないホルモンです。この黄体ホルモンと類似の作用をもち、人工的に製剤された薬をプロゲスチンとよびます。 まとめて右表に示しました。

『不妊治療によく使われる薬・注射の知識シリーズ その①』

『不妊治療によく使われる薬・注射の知識シリーズ その①』

その1.排卵誘発剤 目的:①排卵がない人(無排卵周期)に排卵をおこさせる    ②排卵するのに時間がかかる人(稀発月経)にスムーズに排卵をおこさせる    ③自然では1個しか排卵されないので、妊娠率を上げるために複数個の排卵を促す まとめて右表に示しました。

多のう胞性卵巣(PCOS)と体外受精(ART)

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊患者さんには基本的にはアロマターゼ阻害剤(レトロゾール・フェマーラ®)で排卵を誘発してあげれば妊娠の可能性はあります。しかし、PCOS以外に精子異常や卵管が閉鎖している等の他不妊原因が合併する場合は体外受精が必要になることも少なくありません。 従来、PCOSに対する卵巣刺激はかなりやっかいな問題でした。卵がたくさん発育した結果、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が発生しやすかったからです。 ...

初回の体外受精の受精法、特にsprit法について

初回のART(体外受精あるいは顕微授精)を行うにあたり、体外受精にするか顕微授精で受精をはかるか気をつかうところです。 原則的には精子の数、運動率が良好なら体外受精を、その反対ならば顕微授精をします。 しかし稀に、あるいは時に精子の数も運動率も良好であるにも関わらず体外受精をしたところ、全く受精しないか受精率が低い例があります。 これを受精障害と呼んでいます。 このような場合、良好な胚を確保できないこともありま...

基礎体温の測定について

最近、基礎体温(BBT)についての問い合わせがありますので、まとめてご案内いたします。 1. 測定法 起床したら動いたり話をしたりする前にベッドの中で測定して下さい。 体温計を舌の下に入れ、終了の合図が出るまで間を置いてください。 2. 基礎体温測定で分かること ①排卵周期か否かが分かる 低温相とその後の高温相の2本にわかれていれば排卵しているサインです。 ②いつ頃排卵したか分かる 低温相から高温相に移行する時が排卵...